渦の話
1:流れと渦
  
渦は我々の身近によく見られる割に、渦のことをまとめて勉強する機会は
  少ないように思う。
  岩波全書に“流れ学”というのがあり、渦についての理論や現象について
  比較的分かりやすく書いている。さらに読みやすい本では、コロナ社の
  “渦”があり、身近な渦のことをいろんなエピソードを交えて書いており
  分かりやすく興味をそそる本である。(いずれも古い本なので、もう無いかも
  しれないが)
  そんな中の話題も含めて渦について書いて見る。

       流れがあれば渦が有る!

2:渦の害
(1)空気の渦
  台風、竜巻など地上に発生する渦による災害はよく新聞、テレビなどで
  見聞きするのが、もっといろんなところで渦が発生して災害を起こして
  いる。    
  風が吹くと物の蔭には渦が発生する。
  大きなビルが建ち、その風下になった家が強風の時に壊れたとの新聞
  記事があったが、これも風下に出来た渦が原因だろう。
  ずいぶん以前になるが、富士山の南側を飛行していた旅客機が引き続き
  墜落するという事件があった。これも富士山に吹き付ける冬の北風により
  その蔭に出来た巨大な渦を含む乱気流に巻き込まれたものと考えられて
  いる。
  飛行機が失速するのも、翼の表面の流線が剥がれて、翼の表面に渦が出来
  楊力が失われることによる。
  電線にあたった風のためピューピューと音がでて騒音になるだけでなく、
  振動によって断線することもあるが、これも電線の後ろに出来るカルマン
  渦が原因となる。
(2)液体、水の渦
  原子炉で金属Naが漏れて大事故になったが、これも温度検出端の後ろに
  出来たカルマン渦による振動の力で、検出端が破損したものである。
  鳴門の渦などは船の沈没の原因になる。
  
3:渦の利用
(1)クリーンスペース
  最近宣伝されているが、竜巻のような渦を局部的に作って、たばこの煙を
  その中に吸い込ませて、周りに煙りを拡散させない、嫌煙のためのクリー
  ンなスペースを作る方法がある。
(2)サイクロン
  工業的に多く使用されているサイクロンも渦とその中での遠心力を旨く
  利用して流体中の固形物を分離するものである。
(3)流量計
  カルマン渦の害について述べたが、この振動を利用して流量計が作られて
  いる。
(4)その他
  渦による抵抗を利用してブレーキの役目をさせることは、船や飛行機でも
  使われている。またその抵抗を利用して動力測定などもされている。

4:雑感
  最近見る事が少ないが、ポンポン船と呼んでいた船の煙突から丸い煙の
  環が吐き出されるもを見て面白がった子供の頃も思い出される。これも
  リング渦と呼ばれる渦の一種である。
  鳴門の渦を見て、渦のことについて色々思い出して書いて見たが、流体が
  物体に接触する場合、必ず渦が発生すると考えてもよいだろう。
  その場合、トラブルの原因になることが多いので、流体を扱う場合には
  渦の発生によく注意して物事を行なうことが肝要だと思う。
  渦の面白い使い方について、もっと考えてみてもよいだろう。


ホームページに戻る