単位の話
年末になり忘年会、年が明けると新年会と一杯飲む機会が増えてきます。
飲み屋でナマ中一杯とかお銚子一本などと注文した時、店によってビールやお酒の量が
同じかどうか疑問に思う事がある。ビールのジョッキの大中小の表現には規制は無いように
思う。

肉などはほとんどグラム幾らと表示されていることが多いが、魚屋の場合は一盛り幾らで
“安いよ安いよ”と声を掛けていることが多いようである。その場合は横目で睨みながら、
値踏みをすることになる。
部屋の広さについても、関東と関西では畳の大きさが違っていて、6畳の部屋といっても
大阪と東京とではかなり広さが違っていた。最近はマンションなどでも畳敷きの部屋が
少なくなり、m2幾らの表示になっている。(計量法上からも当然であろうが)

一本幾ら、一皿幾らという場合も一本、一皿は取り引きの単位にはなっている。
しかし、国際的に取り引きされる場合、単位が統一されていなければ、値段が高いのか
安いのか判断できなくて困ることになる。

国際的な単位の統一では、1875年にメートル条約が締結されており、日本も1885年に加盟
している。
現在は1960年に決議された国際単位系(SI)が使用されるようになっている。
日本でも1992年に計量法を全面的に見直してSIを取り入れた新計量法になり、7年の
猶予期間を置いて1999年10月から全面的に切り替わった。
日本では以前にも、1959年に尺貫法からメートル単位系に切り替えた経緯がある。

SIになって、私のように何十年も重力単位系に慣れていて、圧力はkg/m2の単位で勉強し
使い慣れてきた人間には、10キロパスカルと言われても、圧力が高いのか低いのか
ピンとこないので困っている。その他、力の単位のkgfがニュートンに、熱量の単位の
カロリーがジュールになったのなどにも、なかなか馴染めないでいる。

SIになっても例外があり特殊な用途に限定されて使用が許可されているもので、メートル、
グラムなどの基本単位をベースにしていないものがある。
宝石の取り引きに使用されるカラット、船の早さに使用されるノットなど幾つかの単位が
それであるが、その中に混じって“もんめ(匁)”という尺貫法時代の日本の単位がある
のが面白い。

計量単位にはリンゴが木から落ちるのを見て、引力の存在をみつけたニュートンの名が
力の単位になっているように、ワット、パスカルなど多くの科学者の名前がその人に
関連のある物理量の単位に用いられ、その業績が讃えられている。
“もんめ”は真珠の取り引きでの使用に限定されているが、日本で始めて真珠の養殖が
成功して、大量に取り引きされ始めた歴史が国際的にも評価されている証であり嬉しい
ことである。本来なら“ミキモト”とか“コウキチ”であればもっとよかったと思うが
計量単位としては無理のようである。

技術上の単位や取り引き上の単位はSIで厳密にするのがよいが、お酒を飲むときには
ムードの方が優先するので500ミリリットルのビールを下さいでは気分が出ない。
やはりナマ中とか、お銚子一本と注文したほうが良いようである。


 ホームページに戻る                    2002.12.22.