緊急地震速報
今回の岩手.宮城内陸地震での緊急地震速報発信について新聞などの報道記事を
見ていて、その表現に一部違和感を覚えたので一言書いてみます。
この速報の原理は震源地からの揺れの伝播速度が、P波と呼ばれる小さな
縦揺れ(伝播速度7Km/秒)とS波と呼ばれる大きな横揺れ(伝播速度
4Km/秒)との速度差3Km/秒があり、従って、震源地から遠いところでは
大きな揺れが到達するまでに時間差が出ることから、P波で地震発生を速報し
S波による大きな揺れが来るのに対処をするためのものです。
従って直下型地震の震源地付近では速報の効果は出難いことは分かっていたこと
です。

新聞の見出しに「緊急速報の限界露呈」「震源地には間に合わず」などと
いったネガティブな見出しをして、まるで欠陥システムであるかのように記事に
しているのは、記者としてこのシステムの本質と効用を理解していなかったのかと
驚いてしまった。

今回の地震でも仙台市では大きな揺れの10秒前に速報が出されていたようで、
10秒あれば火を消したり、逃げ道確保のためにドアをあけるなど多少の対処は
出来ます。
東海地震、南海地震などの発生確率が高いと云われていますが南海地震が起った
場合に大阪に大きな揺れが到達するまでには充分の余裕があります。
最近高層ビルが多く建設されていますが、地震の大きな揺れが到達する前にエレベー
ターを最寄りの階に止めて、エレベーターに閉じ込められるのを防ぐとか、新幹線の
速度を落として脱線事故の危険性を減らすなど、このシステムが生かせることは沢山
あるのに、もともと対象外の性能を取り上げて、このシステムをマイナスのイメージに
するのは、如何なものかと思われます。
自動車の安全ベルトにしても、これで100%助かるわけではないが、死亡事故を
何%かでも減らせることで、その着用を法律でも決めているので、もし安全ベルトを
していて死亡した時に、「安全ベルトの限界露呈」といった記事を書くだろうか。
地震でも、このシステムで損害を減らせればよいのであって、100%でないから
駄目みたいな記事を書く事はマスコミとして不勉強であり的外れであると思う。

評論すべきは、このシステムを生かすための準備対策が遅れている事であり、速報を
報道すべきテレビ放送局の中に、速報が出てから手動で画面に出している局もある
ようで、JRの安全対策の遅れなどを糾弾しているマスコミで、緊急速報の放送が自動化
されていないでは、秒単位で報道すべきことに対していかにもお粗末な感じを受けた。
自治体でも地域住民に対しての速報体制の整備が出来ていないところが多いようで
そんな実体が分かった点ではよかったと思う。

ある報道では地下街などで速報が出たらパニックが起きないかとの心配があると
いったコメントも云っていたが、急に大きな揺れが来た場合のパニックと予報に
よって起きるパニックとを比較した場合、後者の方が小さいように思う。物事は
相対的に良く成るかどうかで判断すべきものでしょう。

いずれにせよ、もともと速報には効果の少ない直下型地震の震源地近くのことを
云っても仕方がないことなので、今後起こりうる東海地震、南海地震などの時に、
世界で始めて供用が始められた、日本のこのシステムを生かして、災害を最小限に
するよう対策を進めることが大切である。


ホームページに戻る                    2008.6.24.