賞味期限
今年北海道の代表的土産物として評判の良かった「白い恋人」の賞味期限改ざんの
問題が発覚し、さらに同社のアイスクリームやバウムクーヘンの一部から食中毒の
原因になる黄色ブドウ球菌が検出されていたことを公表せずに処理してしていた事が
発覚したことなどから社長の退陣にまで発展しました。

この事件から食品の賞味期限についてのルールやそれに対する消費者の認識と購入
行動について議論がなされています。
賞味期限を決めるには次の三つの試験を行って可食期限を決めることから始まります。
 1:微生物試験(大腸菌群の存在など)での限界日数
 2:理化学試験(酸度や栄養成分など)での限界日数
 3:官能試験(味、におい、色など)での限界日数
このの限界日数の一番短い日数を可食期限として、それに安全係数(0.6〜0.8)を
掛けた日数を賞味期限とすることになっています。ただ、この安全係数はメーカーの
判断で決められます。(厚生労働省と農林水産省の指針がありそれを参考に)
この係数を0.6にするかか0.8にするかで、賞味期限の長いものでは一ヵ月以上の差が
出ます。

上記のルールで分かるように賞味期限というのはかなり曖昧なところを含んでおり
賞味期限が切れた食品をすべて廃棄処分とすることは、世界には食料不足や貧困から
飢えに苦しんでいる人口が何億人もいる現実や、また、環境、資源保護の観点からも
よく考える必要があると思われます。
インターネットのウイキペディアで見ていたら、「回収した製品の状態を検査して、
賞味期限を付け直すことは合理的で問題のあるものではない」との記述がありました。
これが正しい賞味期限のあり方であろうと思います。
ただ「白い恋人」の場合は単に在庫が膨らんだ時に、便宜的に賞味期限を付け直して
いたようで、これは許容出来ないが、合理的な基準をはっきりして運営することが
望まれます。
その為には、上に書いた三つの試験の数値的相関関係も明らかにすることが必要で
あり、もう一つは保存条件によってそれがどう変動するかもデーターとして明らかに
しておくことが必要です。
例えば、製造してから冷蔵庫、冷凍庫に入れておくことで品質に劣化が無ければ、そう
いう条件付きでは何ヵ月でも賞味期限を延長してもよいはずです。
劣化は食品成分の化学反応によって起るものであるから、食品が晒された温度と時間に
よって大きく変化するのが当然です。
賞味期限を決める上記の試験は、通常出荷後に晒されるであろう環境条件で、それに
余裕をみて安全係数を掛けているので、出荷先がどのような保管状況にしているか、
また、夏と冬とではかなり変質期間に差が出ます。それを一つの数字で決めてしまう
ところに無理があり、メーカーが勝手な判断で変えてしまうことを誘発することになる。

営業的には賞味期限近い商品は安く売ることも必要で、スーパーなどでは、夕方
閉店近くなれば、売れ残った生鮮食品は安くして売り捌いてしまうのが常識で、買う
消費者もそれを狙って買っている。
賞味期限に近い土産物も値段と期限のバランスで判断し、安ければ消費者は買っていく
だろう。このあたりはテストセールしてみれば消費行動が分かるだろう。
メーカーも消費者も賞味期限の意味を理解して、「もったいない」の心で資源の無駄
使いを避けるようにしたい。

技術的には、温度履歴を検出するセンサーを入れておいてそれによって賞味期限を
表示することなどを研究することが望まれます。
輸送機関では商品が輸送中に最高何度までの温度に晒されたかが色の変化で分かる
ような検温試験紙をコンテナーの中に入れておくことが実用化されていると聞いた
ことがあります。
食品の賞味期限切れを表示するように、適当な温度と時間の累積で変色するような
変質試験紙を開発すればもっと合理的な判断指標が出来ると思います。


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