真空の単位
私のような古い技術屋はTorr(トール)に慣れているが、最近はPa(パスカル)
1 Torr = 1.333×102 Pa (Newton/m2)
本当の真空
真空とは空間に何もない状態とイメージすると実態とはかけ離れている。
大気圧の空気中には、約2.7×1019 個/cm3 の分子がある
現在の真空ポンプでの最高到達の約10-10Torrでも、約3.6×106 個/cm3の
分子が空間を飛び回っている。
したがって、何もない空間を作ることは至難の技であり、真空と言う言葉は、
やや行きすぎの感がある。
人工真空の限界
現在実用レベルでは 10-11Torr 程度の真空が限界だろう。
実験的には 10-13 ぐらいまでは得られているという。
宇宙の真空
人工衛星で地球から離れたら高真空の実験ができるか?
上空高度(Km) 50 300 1000
真空度(Torr) 7.9×10-1 6.5×10-8 5.3×10-11
この数字から見ると少々のことでは、高真空は得られないことが分かる。
分子の衝突
空間に多くの分子が飛び回っているが、どんな状況だろうか?
容器の壁にぶつかる分子の数は 10-6Torr で 約4×1014個/cm2/sec
分子同士がぶつからずに飛ぶ距離 10-3Torr で 約5cm
(平均自由行程) 10-5Torr で 約500cm
空間に存在する分子の数からすると、思ったより衝突せずに飛んでいるようだ。
分子の大きさがそれほど小さいということも示している。
分子の飛行速度 (窒素 20℃) 約 472m/sec (音速に近い)
ちょっと面白い真空の使い方
冷却方法
大量生産の食品(ご飯、惣菜、豚まん、その他)を冷やすのに、真空で水分を
蒸発させ、内部まで均一に急速冷却している。
野菜などの冷却にも同様の技術が使われている。
同じ原理で、夏期に、大量のコンクリート作業をするとき、骨材を濡らしてから、
真空にして、一度に冷却している。
真空含浸
最近は軽量化のために、アルミ鋳物が多く使用されるが、アルミ鋳物に出来やすい
ピンホールを埋めるために、真空にしてから樹脂を内部まで含浸させている。