三方よし
250年ほど前からある近江商人の心構えの「三方よし」という言葉が最近よく取り上げ
られているようです。
食品の品質偽装や製品の品質不良の隠ぺいなどの問題が多く起っていることから、企業の
社会的責任CSR(Corporate Social Responsibility)について議論されている中で、日本
には昔から「三方よし」という理念があったではないかと評価されており、時々目にします。

「三方よし」は「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」で売り手と買い手だけでなく
世間にもよいことが求められているところが、現代のCSRに通じる理念として評価されて
いる由縁でしょう。「世間よし」には環境にやさしいといったことなど、社会に貢献する
ことが含まれていると思います。

近江商人は江戸時代から明治時代にかけて上方の商品と地方の産物を有無相通ずよう、
日本各地をまわって商売し、それから大きくなっていったようですが、見ず知らずの
土地を廻って長く商売を続けるには、信頼関係を如何に築くかが大事であったであろうし、
その基礎になったのが「三方よし」の理念となり、信頼されて近江商人として繁栄できた
のでしょう。

最近の投資ファンドといわれる会社などの活動をみていると、金がもうかって自分だけ
良ければよいのだといった行動で、投資先の会社が長く続いて地道に利益が得られ、従業
員の生活が保証されるといったような世間に良い事を考えることなく、当面の配当を増や
して目先の利益を得たら売り飛ばして、その会社が潰れて従業員が路頭に迷ってもそんな
ことは関係ないといった行動に見えます。
企業に適正な配当をすることは求められますが、配当を不当に増やして将来のための先行
投資が減り企業の先が見えなくなるようでは株主の要求として問題である。
また、目先の業績を良くするために、機械設備の性能を維持する為の補修費を削ってしまう
ような工場長がいて、その後に赴任した工場長は設備の故障が多く、結局余分に補修費が
嵩むとの結果になっていたとの話を聞いたことがある。これなども目先の自分の立場だけ
良ければよいとの心が皆の迷惑になった例です。
また問題を起こしたアメリカの企業で、経営者が何十億もの報酬を受けとっていたなどと
報道されているのをみてもその経営理念が問題であると思われます。戦後の日本は従業員と
社長の所得格差が世界で一番少ない国だと云われていました。

GMを始めとする最近のアメリカ自動車産業の状況などを日本のトヨタやホンダなどと比較
すると、日本では各社が省エネルギーを考えたハイブリッドカーなど将来の地球環境を
考慮した開発に取り組んできて「三方よし」の理念を持っていたのがその差を生んだように
思われます。

日本でも不祥事を起こした企業が多く存在しましたが、SCRといった横文字をもってこなく
ても、古くから日本にある「三方よし」の理念でその行動を見直して行動してほしい。
また、この「三方よし」の理念は社会生活全般についても言えることで、各自自分の日常
生活でも、この気持ちをもって生活したいものです。


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