自然災害に思う
阪神淡路大震災の10周年を迎えて追悼の行事が行われ、同時にスマトラ沖大地震と
其れに伴う津波の災害を踏まえた国連防災世界会議が神戸で開催されました。
昨年の中越地震もあり、また局地的豪雨による被害など、世界中が自然災害に対する
人間の無力さを思い知らされている。

自然災害は人力では止めようがないが、それに伴う被害を減らすことはできる。
中越地震の災害復旧対策には阪神淡路大震災の経験がかなり生かされたようで、その点
では日本の災害対策は、まだ改善すべき点があるようだが、かなり改善されたと思う。
今回の津波被害の甚大さから、災害対策情報の衆智徹底が如何に大切かが浮き彫りに
なっている。
日本では、我々の年代は「稲むらの火」として小学校の教科書で教えられ津波の前兆を
知り、それを皆に知らせることの大切さを知っている。同じようなことが、インドネシ
アのシムル島であり、「地震後に海の水が引いたら山に逃げろ」の言い伝えから住民が
高台に逃げて、20万人以上の津波による死亡が伝えられる中、7万8千人の住民の中、
死亡は7名にとどまったと報じられている。
国連防災世界会議で日本の阪神淡路大震災での教訓や津波警報の伝達方法が世界の人々に
伝えられ役に立つことを期待している。

しかし、このような教訓がまだまだ生かされていないのではないかと思われることも
多く残っているように思う。
日本では活断層による地震が直下型地震となり、大きな被害をもたらすことが多いよう
だが、活断層の上に住宅を建設することについて、なんの制限もないのが実情のようで
ある。外国ではそんな制限を設けている国があるとも報じられているが、地震で倒壊し
たら結局再建のための補助金などは、税金から出すことになる。もちろん結果的には
そこに家を建てた人も大きな損害をうける。
活断層の存在を明らかにする事はそこの地価を下落させることになるが、建てた家が
倒壊する損害とどちらが大きいかとの比較になる。多くの人が活断層に注意をはらって
家を建てるようになれば、その土地の価格はいずれ下落することであり、それは諦める
しか無いだろう。活断層の真上でなく、土地が陥没しなければ、耐震建築にすることで
建物の被害は少なく出来るので、都市部では活断層の上の一定の幅だけ緑地帯にする
ことも考えたらよいだろう。
次に思う事は東京への集中を放置していることである。
歴史的にも東京では80〜90年の周期で大地震が起きることは分かっており、すでに
地震発生の危険時期に入っていると言われている。
政府の機能を東京から移転するという話が随分前から出ており、良い事だなと思って
いたが、一向に進める様子がなく、政府官庁の建物が次々と建て替えられている。移転
するなら、全く税金の無駄使いである。建て替えのたびに筑波へでも移しておけば
大地震の時のリスク分散になるだろう。
今度関東大震災並の大地震に見舞われたら、都市機能が回復するのに1ヶ月ではとても
無理だと思われる。阪神淡路大震災の時水道やガスの復旧に掛かった工事と比較しても、
災害復旧を要する工事量は桁違いに大きく、復旧に必要な作業者の確保が出来ない
だろう。全国から作業者を集めても限りがあり、阪神淡路大震災の何倍も日数が掛かると
考えるべきである。
都内に超高層マンションが建てられているが、上記のようなことを考えると、その
高層階に住むにはそれ相応の覚悟がいる事だと思う。
また、通勤ラッシュ時、地下鉄に大勢の人が乗っており、高速道路が渋滞している
時に地震が起れば人的被害も増大し、地下に閉じ込められたり、渋滞で道路一杯に
止まっていた車が乗り捨てられたら、後の処理もどれだけ掛かるか想像もつかない。
大企業が東京に高層ビルを建てて、本社機能を東京に移しているのを見ていると
ビルそのものは壊れないにしても、大地震によるその他の損失を考え、経営者の判断
として如何なものかという思いがしている。

過去の災害実績から日本の中で自然災害の発生する危険度が少ない土地のランク付け
をはっきりさせて、そこに重要な政府機能や企業の中枢機能を移すべきで、あと何年
かでまた発生し、繰り返される大地震を分かっていながら、建設投資を続けるのは、
為政者、経営者、人間として知恵が無さ過ぎることである。
集中すればするほど、災害時の損害は大きくなり、復旧のための費用も膨大なものに
なる。今は、健康の問題でも、病気になってからの治療でなく、病気にならない
ための予防に力を入れた方が、結局安くつくことが認識されてきている。
これと同じで、災害に遭うことが少なく、より安全な生活を確保できるように考える
べきである。
情報の伝達はIT化が進み、遠距離まで同時に成される時代になってきているので、
色んな施設を分散してリスクを減らすことを考えた国土計画にせなばならない。
規制せずに放置していれば野方図に集中が進み、その後始末に膨大な費用が掛かる
ことになる。


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