安全とリスク
先日吉野屋の牛丼が久しぶりに売り出され、大勢の人が行列を作って食べに
行っている様子が新聞、テレビで報道されていた。
そんな報道のマスコミの取り上げ方を見ていて、思ったことの一つに安全と
リスクの問題があります。
報道の中でのインタビューで、アメリカ産の牛肉を使った牛丼を食べることに
ついて不安が無いかという質問に対して不安があると答えている人の様子が
映し出されていた。不安が有ると言う人が其の事に対してどの程度のリスクが
あると思っていて返事をしているのだろうかと疑問を感じた。
牛海綿状脳症(BSE)についてはテレビでよろめいている牛の姿を何度も見せられ、
輸入再開した直後に危険部位を含んだ物(ただし、BSEの牛のものである確率は
非常に少ない)が混じっていたなど、悪い印象が植え付けられていたことが影響
していたと思うが、本当に安全が確保されないほどリスクが大きいものだろうかと
云うことである。

先に安全とリスクについて書いた時にリスクを数値化して評価する尺度作って
ほしいと書きましたが、リスクを評価する物差として手塚山大学の中谷内教授が
10万人当たりの年間死亡者の概数を提案されていました。がん200、自殺24、
交通事故9、火事1.7、自然災害0.1、落雷0.002がそれである。
この物差でいくとBSEで病気のなるリスクは落雷による死亡より低いとされる
ようである。人は毎日のように自動車に乗って移動しているが、この方が牛丼を
食べて病気になるより1万倍近く危険であるのに平気で乗っているのである。
マスコミがこのような数字を示した上で質問すれば答えかたも変わってくると
思われる。

最近マスコミの表現で人に大きな印象の差を植え付けると思ったのは自民党総裁
選挙の報道である。ある新聞は「圧勝6割を越す得票」と大きな見出しで書き、
他の新聞は「得票66%目標に届かず」と大きな見出しで書いていた。
前者はプラスの印象を与え、後者はマイナスの印象を与えるものである。小さな
字の本文を読めば、安倍新総裁の得票数は同じな訳だが、一般の読者に対しては
マスコミがどのように表現して報道するかで読者の受ける印象が大きく変わって
くる。従ってBSEの安全性に関する報道などでも大きな見出しにどう書くかに
ついては充分考えてほしい。

先にオリンピック招致と地震と題して東京にオリンピックを招致することに疑問を
示したが、日本の候補地として東京に決まったことの報道に、何にでも批判的な
記事を書くマスコミが地震のリスクについて書かないことに疑問を感じた。
立候補しても、競合する世界の都市が多く、東京に決まる確率は低いからそんな
批判的なことを書いてもしょうがないと云うのだろうか。
東京でM7クラスの直下型地震が何時起っても不思議はないとされ、中央防災会議で
地震が起った時の対策が検討されている。勿論オリンピックの時期に地震が起きない
確率の方が高いであろうが、世界から大勢の人を集めて開催される行事を主催する
責任者としては見逃せないリスクの高さであろう。

いろんな安全とリスクを考えていて、私は吉野屋の牛丼を食べることに抵抗はないが、
東京には出来れば行きたく無いと思う方である。


ホームページに戻る                      2006.9.24.