安全とリスクと責任
この原稿を書いてアップロードしようと思っている時にJRの大事故のニュースを聞き
ました。この事故に関して書こうかとも考えましたが、まだ原因も究明されていないし
下記の原稿の内容は、今度の事故にもあてはまる様に思われますので、少し書き加える
だけにしました。

最近報道されている事故の事を見聞きしていて、安全に関して思ったことをまた
書いてみます。
昨年回転ドアでの事故があって、それに関連して安全と技術屋と題して書きましたが、
最近の報道された、マニュアルにある安全ベルトをさせずに娯楽施設に乗せたために、
転落死を招いたことや、踏切りの遮断機を警報が鳴っているのに開けてしまって、死亡
事故につながったこと、あるいは、事故には繋がっていないが、大手の自動車メーカーが
無届で自動車の公道試験を行っていた、JALに多くの管理欠如があった、コンピューター
ソフトをテストせずに配布したなど、あまりに基本を忘れた、あるいは無視した行動が
多いことに、腹立たしい気持ちが一杯です。

安全ベルトをさせずに乗せていた件は、安全のために決められた規則を、今まで事故が
無かったから守らなくても大丈夫だろうと、安易に運営上の抜け道を作っていたようで、
安全に対する基本認識に欠けていることです。

一般に規則を守らないからと言ってすぐ事故が起ることは少なく、事故が起る確率、リスクは
小さいことが多いと思います。しかし小さくても事故が起るリスクがあるから安全に関しての
規則、ルールが決められているのです。
従って、管理する立場の人にはどんな事があっても決められたことを守るという教育を
しっかりとしておく責任があります。
どうしても乗りたい人を、安全ベルトをせずに乗せる事を現場の社員に確認して判断する
といったことは、事故が起るリスクについての認識が無いことを示している。

リスクがあるという事は何時かは起るんだ、あるいは今日起るかも知れないという事です。
そう考えると決められたことに例外を許すことは絶対に出来ないはずですし、常にリスクを
減らす努力をせねばなりません。従って、管理する人の責任は重大だと認識すべきです。

今回の事故でも、制限速度を越えたら自動的に減速させるという制御装置の導入がもう少し
早くなされていたら、脱線もしなかったかもしれないし、仮に脱線しても、事故の規模は
はるかに小さかったでしょう。

以上のようなことを考えていて思ったことに、我々が安全や事故に遭うリスクをどの程度と
認識して行動しているかということです。
以前は、毎年1万人以上の人が交通事故で亡くなっていました。最近は1万人以下になって
いますが、日常生活で交通事故に遭うリスクはかなり大きいと思います。
そんな事故の内訳では新幹線は最もリスクの小さい乗り物となっているようです。航空機の
事故はそれと比較するとかなり多く、自動車での事故が最も多いでしょう。
人が交通事故以外の原因を含めて、死亡事故に遭うリスクを数値化したらどうなるのか
専門家の方に一覧表にしてほしいと思います。
宝くじを買って1等賞に当たる確率と比較して、何倍なのか何分の一なのかが分かれば、人が
判断し行動するのに役立つでしょう。
今議論されているBSEの問題でも、生後20ヶ月未満の牛を検査対象から外した場合のリスクを
その表の中に入れたら、どの程度のランク付けになるのでしょうか。リスクが小さいとか
やはり危ないとか議論されていますが、こんな表で教えてもらえれば、一般の人も判断し
易いと思います。一体そのリスクは新幹線に乗るのとどちらが大きいのでしょうか。
それによって輸入牛肉を食べる気になるかどうか、消費者が値段と比較し判断するでしょう。
先に書いた許容時間と同様に人にはそれぞれ許容リスクがあるはずです。

また、そんな中に伊丹(大阪)空港で離着陸時の事故が起るリスクを入れてみたら、どの
程度のリスクになるのでしょうか。
世界の空港で事故が起って民家に損害を与えていますが、統計的にどの程度の離着陸回数に
一度起るのか、その事故で死亡者がどの程度出ると推定されるのでしょうか。
リスクの大きさが分かれば、伊丹空港は早く閉鎖して、国内線を関空に集中することを
急がねばならないとの声も大きくなるでしょう。また、いま移転に反対している人は、事故が
起った時の責任をどのように考えているのでしょうか。
政治の責任者にはそんな資料を作って世間に問うことが求められています。

上記したように、リスクがあるということは、明日起っても不思議はないということです。
伊丹空港の場合でも、事故が起ったら評論家が出て来て、以前からそんな危険性があると
分かっていたのに、地域のエゴで移転出来なかったとコメントすることでしょう。そうして
事故の犠牲のもとに移転が進むことになります。本来便利に使える空港にしていないことから
ボタンの掛け違えが起っているのですが。
このようなリスクも考慮の上で、先に関西空港について(その2)で引用した副首都プロジェ
クトも早く推進すべきものと思います。


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