理科離れ
最近子供の理科(理数科)離れが問題として時々取り上げられているのを見聞きします。
また、団塊の世代が定年退職することによって職人技や技術が引き継がれないことを心配
され、次世代に如何に伝えていくかを取り上げている記事もよく見かけます。
そんなことも、子供の理科離れと関係しているように思います。

理科離れの一つの要因としては、子供の生活環境が昔と変わってきたことが考えられます。
遊びは子供の成長過程で重要な影響を持ちますが、我々の子供の時代には遊び道具一つでも
手作りで拵えなけらばならなかった。ソフトボールをするのにボールは布を縫った袋の中に
ぼろ布を詰め込んでつくり、バットは棒切れを削って作った物で遊んでいた。
凧を作って糸の付け具合、シッポの長さなど工夫して凧の揚がり具合を調節し、紙飛行機も
いろんな折方をして、羽のひねり具合で飛び方を変え、竹トンボでは羽の角度、厚みなどの
削り方で良く上がるようにやってみるなど、それぞれ理屈を考えて手作りする事が興味を
持って何かをする楽しさを教えてくれたように思います。
ただ、都会では凧を作っても揚げる場所が無いため、そんなことも簡単に経験出来なくなっ
てしまった。さらに、皆が筆箱の中に小刀を持っていて、鉛筆を削っており、切れ味が悪く
なったら自分で砥石を使って小刀を研いでいたものだが、今では子供に小刀を持たせるなど
危険だと言って親が許さないだろう。
何にしても自分達で工夫して作ることが当り前であったのがよかったのかもしれない。また
ブリキのおもちゃが壊れたら、それをばらしてゼンマイ仕掛けの機構をしらべて、何とか
自分で直して使う努力もしていた。風呂を沸かすにも薪を割って風呂釜の前に座って火の
番をしており、石炭を放り込んだ時どうしたらよく燃えるかなど身をもっって経験する
ことが出来た。

最近は遊び道具は買えばすぐ手に入り、遊びの中身もゲーム器やパソコンのキーを叩いて
おれば画面の中のキャラクターが動いてくれて遊べますが、キーを押さえることで画面の中の
キャラクターの動きになるとの関係はブラックボックスになっており、ゼンマイ仕掛けの
おもちゃのように目に見えないので、何かあった時に自分で考え、いじって直してみようと
することも出来ません。
家庭の風呂もガスか電気でスイッチ一つでお湯が沸き、そこに子供が身を持って何かを経験
して工夫していく余地がない。

最近テレビで理科の実験的のように色んな現象をやって見せ、その原理を説明してくれる
番組などが増えていたり、そんなことが本になって出版されているのは喜ばしいことだと
思って見ていますが、見ているだけでは駄目で、そんな実験を学校で多くの子供達に自分で
やらせて初めて興味を持つようになり理科離れが少しでも改善出来るでしょう。

上にブラックボックスと書きましたが、子供にとってはゼンマイ仕掛けなら具体的な動き
として目に見えるので理解しやすいが、ゲーム器の電子回路の中で起っていることは目に
見えない抽象的な現象で専門家でなければ理解出来ないことです。従って遊びや生活の中で
理科系の経験や勉強をすることは難しいことになってしまいました。

日本には古くから、見事なからくり人形があり、機械仕掛けで巧妙な動きをしてくれます。
このような仕掛けは、ばらしてみれば目に見えるので子供に見せても理解しやすい物です。
学校では、このような形の具体的に見える物を教材にして、子供が手で触って組み立てて
みるなどの体験させ、その理屈を考えさせることが必要だと思います。

テレビで大学や高専などが工夫をこらして争うロボットコンテストの様子が放映されますが
学校ごとの工夫が千差万別で何時も興味を持って見ています。
ここに出場してくる学校や参加者は選ばれた人でしょうが、こんな立派なものでなくても
小さいテーマで子供が工夫して何かを作り上げるような授業をしてもらって、子供に物を
作り上げる工夫を体験させれば理科離れを少しは食い止めることが出来るでしょう。先生の
手間は増えるでしょうが、それをやるのが理科教育の基本でしょう。
また、家庭でも子供に手作りでいろんな事をやらせる機会を意識的に増やしてもらわねば
ならないと思います。

世の中に理科系ばかりがおれば良い訳ではなく文科系とのバランスが必要でしょうが理科
離れが言われているので感じたことを書いて見ました。


ホームページに戻る                     2005.8.29.