技術屋とノーベル賞
今年のノーベル化学賞を島津製作所の田中耕一さんが受賞されました。
朝日新聞の記事では「技術屋に光当たる」と表現されていたので、私の「技術屋の部屋」と
しても是非一言書いてみたくなりました。

田中さんの人柄を紹介している記事を読んでいると、いかにも技術屋という表現がぴったりと
しているように感じて嬉しくなってくる。

日本経済新聞に1984年の物理学賞を受けたオランダ人加速器工学者のファンデル.メーアの
事を紹介されていたが、新しい発想で装置を開発したエンジニアとして賞を受けた方のようで、
その点で田中さんと同じであり、この方も寡黙であり技術屋と呼ばせてもらってもいい人柄の
方であったようだ。

今年の物理学賞を受けられた小柴先生の素晴らしい研究の成果を影で支えたのも、スーパー
カミオカンデに使用された高感度の光センサーを開発した浜松ホトニクスの社長とその技術屋
集団であった。世界一の高感度を持つ光センサーを作り上げた技術力とその執念に頭が下がる
思いである。

技術屋は縁の下の力持ちであることが多く、光りが当てられることが少ない。自分の好きな
仕事ができればれそれで善しとして黙って仕事を進めているのが多くの技術屋であろう。
私のような装置技術屋は企業で生産設備を計画し、建設してそれを生産グループに引き渡し
装置が順調に稼動して、計画どうりのよい製品が出来るようになれば、ああ良かったなと思い
ながら、また次の設備の計画にと移っていくことのくり返しであった。
しかし、田中さんのように優れた業績をあげられた方々には是非光が当たってほしいし、それ
なりの処遇がされるのは望ましいことだと思う。 

田中さんも研究を続けたいために役職は主任のままであることを希望され続けておられた
ようですが、島津製作所としても報奨金と新しい待遇を決められ、その上で、研究者としての
仕事を続けていけるように配慮されたようで喜ばしいことです。

最近、特許に対する報奨金のあり方についても、よく話題になっているが、これについても
各企業が再検討し、発明者に対して厚く報いるようになってきているのは、技術屋としては
有り難いことだと思っている。


ホームページに戻る                      2002.10.26.