公式を覚えさすな
3月に小学校教科書検定結果についての新聞記事が載って、幾つかの目についた
点が有った。
その中で台形の面積の求め方について記述に幾つかのパターンがあることが
書かれていた。紹介記事での面積の求め方について公式を復活したものが何社か
あったということに関して感じた事を書いてみます。

台形の面積=(上底+下底)x 高さ÷2 という公式を出すことは、公式を覚える
ことで勉強が終わるような誤解を招くように思われ、また面積を求めるのにも
多くの方法があるのに、一つの方法だけを正解として教えることに繋がります。
別の出版社は公式を出さずに、面積を算出する方法を幾つか併記して面積を
求める方法が幾つも有るという、解決方法を教えることを主眼においている。
台形を対角線で二つの三角形に分け二つの三角形の面積を足すことで台形の
面積を求める、また公式の考え方の基礎になっているように、台形を逆さにして
くっ付けて平行四辺形を作り、その面積の半分が元の台形の面積とするやり方、また
台形の中に上底と高さで長方形を作りその面積と、その両側に出来た二つの三角形の
面積を足すことで元の台形の面積を求めるやりかたなどを教えている。ここには
出ていなかったが、下底と高さでできる長方形で台形を包み、長方形の面積から
台形との差である両側の二つの三角形の部分の面積を引いても求められる。

このように、問題の解決方法には色んな方法があることを教え、いろいろ考える
ことを教えるのが本当の教育だと思う。

上記のことを書いていて思い出したことに、分数どうしの割算が出来ない大学生が
大勢いると以前話題になったことがある。
これを公式的に言えば分子に分母をひっくり返して掛ければよいのだが、なぜそう
なるのかを理解していなければ発展がない。数学などを学ぶことは物事を考える力を
養うことに意味が有ると考えている。
此の問題は、分数の性質と割算の意味を正しく教えれば簡単に解けるものである。
分数には分子、分母に同じ数字を掛けても同じであるという、基本の性質がある。
1/2 = 2/4= 3/6 = 4/8 =--- や 1/3 =2/6 = 3/9 = 4/12 =--- などは円形を
半円,四分円と割っていってみるなどをすれば実体として直ぐに理解出来る。
割るということについては、二つの考え方がある。例えば2で割るということは
二つに分けるとの考えかた(私も以前はこの考え方に片寄っていた)と割られる
数を二つずつに分ける(2という単位で分ける)という考え方である。
前者の考え方によれば、10を2で割る場合頭の中で二つに分けることは理解
しやすい。しかし1/2で割る場合、10を1/2に分けるということは頭の中で
実体として思い浮かべることが難しい。
後者の場合は、例えば10個の蜜柑を1/2ずつの単位に分けるのであれば、蜜柑を
半分に割ったものを分けると考えるから、実体として理解できる。
分数どうしの割算もこのような基本を理解させることから導き出される結果として
分子に分母をひっくり返して掛けるという方法にたどりつくだろう。

別の例でいうと、レンズの公式があるが、これもレンズの性質(レンズの軸に平行に
入った光は焦点を通っていくなどの基本の性質)を理解していれば、レンズの公式を
覚えていなくても像が何処に出来て、その大きさがどうなるかは作図をすることで
容易に算出できる。物理でも物事の本質を教え、理解させる教育が大切であり
結果としての公式を覚えさせるのは間違いである。

公式を何故そうなるかと教えるのが教育であり、理解することで公式は導きだせる。
従って公式を覚えさせるのは教育ではないというのが私の考えである。(理解した
結果として公式の形が頭に入るものである)。
生活の場で多くの問題にぶつかるが、公式があって当てはめれば答えが出て来る事は
ほとんど無く、自分で解決の手段(公式)を考える事が必要である。
マニュアル人間という言葉もあるが、なぜそうするかを充分理解していることが基本に
なければ意味が無い。
「公式を覚えさすな」という極端な表題にしたが、公式を覚える教育を受けていると、
考えることをしなくなるように思う。日本人は創造力が弱いなどと言われるが、考える
教育を大切にしたいものである。


ホームページに戻る                       2004.4.25.