言葉と映像
薬の服用方法(食前、食後など)を分かりやすく表示する絵文字が改訂追加されることを
新聞が報道していたことから身の回りを見直していて、情報の伝達について考えてみた。
衣料品についても洗濯やアイロン掛けの方法、条件について表示する絵文字がつけてある。
その他道路交通についての標識や安全について非常口の表示など国際的に決められて通用
する絵文字や標識が沢山ある。
言葉で書かれては国によって文字が異なるので異国の人には通じないが絵文字や標識にする
ことで国際的にも共通して理解され情報が誰にでも伝達される。

情報の伝達で思われることの一つに写真、テレビ画面などの映像のもつ影響力がある。
戦争の悲惨さを伝える一枚の写真が、言葉では書き切れないものを一瞬にして人に伝えて
くれ、中国の民主化運動家が戦車の前に立ちはだかる映像などが世界中に配信されたため
今まででは隠されたであろう中国社会の動きを直接知らせてくれた。

では、言葉でしか伝えられないものは何であろうかと考えてみると、論理的な思考、哲学
的なものや宗教的な内容などは、逆に映像だけでは表現出来ず、他人に伝えることは出来
ないように思う。

最近はマンガ流行りの時代になり、色んなことがマンガの形で出版されているが、これも
文字離れした現代人に受け入れられ易い形なので理解出来ることである。先に書いたように
映像から受ける情報は下手な説明より遥かに多く一瞬で伝えられるので、現代人には向いて
いるのだろう。ただし、感覚的情緒的なことを伝えることは出来ても、上記したような論理
的なことを表現するには不向きであると思う。従ってマンガばかり見ていると論理的な思考の
点でマイナスになるだろう。

文字には表音文字と表意文字がある。日本語は表意文字である漢字をうまく取り入れたので
優れた言語となっていると思う。漢字を覚えるのは大変だと云えば大変だが、漢字を使う事で
言葉が映像化され、一見しただけで表現しようとしている内容を受け取ることが出来る。
毎年、一年の状況を漢字一字で現わすことなどが行われているが、もともと、漢字は象形
文字から変化して出来たものであるから、漢字一字は映像だと捕らえると、こんなことが
年中行事として定着することも頷ける。
最近の書道展を見に行って感じたことは、漢字を逆に象形化して絵画のように表現をして
書いている作品が多いことである。もともと漢字は物の形を文字としたものであるから逆も
また真なりで文字がその内容を表現してくれるのを実感できた。
ワープロで変換間違いをしていてうっかり気がつかないことがままある。例えば「しん」
と打ち込んで漢字変換してみて、如何に同音異語があるかを再認識させられるが、漢字に
変換することで云いたいことを容易に伝えられる。漢字で書くことで言葉に映像的要素が
取り入れられて意思の伝達がより効果的になっている。

最近選挙が劇場型選挙となったと云われるが、言葉より映像が主役になってしまって詳しい
政策の中身よりも印象が結果を左右してしまうきらいかある。映像に騙されないように気を
つける必要があろう。
テレビの時代になって特にスポーツの中継など見る人にとっては、目の前に状況が写し出され
非常に有り難くなった。ラジオだけの時代ではアナウンサーが苦労して状況を伝えていたの
だが、映像があるテレビでは言葉がかえって邪魔になってしまう。

以前に報告書のまとめ方と題して書いた時に、グラフ化して分かりやすくすることを書いたが、
最近でも、ばらつきのあるテストデータの測定値の数字を見ているだけでは2種類のデータの
関係が分かりにくかったのがグラフ化することである程度の相関関係が見えたことがあった。
多少ニュアンスが違うがデジタルとアナログが言葉と映像に対比出来るようにも感じられる。
上記の数字の表はデジタルであり、グラフ化するとアナログとなって映像化されて、データ
全体の関係が一見して把握出来る事になる。

効率良く情報を伝達するには、伝えたい内容によって言葉と映像の特性を理解し、旨く使い
分けたり、併用することを勉強せねばならないと再認識した。

なお、最初に書いた薬の服用方法についての絵文字は「くすりの適正使用協議会」のホーム
ページhttp://www.rad-ar.or.jpで見られます。


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