改正臓器移植法成立
7月13日参議院で臓器移植法の改正A案が可決され、日本でも15才以下の
子供からの心臓移植のような臓器移植手術が行えるようになる。(1年後に施行
される)
私も日本では15才以下の子供からの臓器移植が認められない為に、海外へ行き
移植手術を受けなければならないことの矛盾について思った事を「臓器移植」と
題して書きましたが、今回の改正案の成立を喜び,もう一度感じた事を書きます。

この改正A案は衆議院で6月18日に賛成263反対167で可決され、参議院での
審議に入ってからさらに修正A案も提出され成立が危ぶまれていましたが、賛成138
反対82の結果で成立しました。
賛成/反対の比率は衆議院1.57,参議院1.68であり、私の思っていたより差が
開いていた。中にはもう1年審議をすべきではないかとの意見もあったようですが
1年決議を延ばしても結果は同じであったと思います。
ただ審議の中で論議された問題点については施行までの1年間により良い方向へ改善
するよう準備を進めることが必要と思います。
WHOの海外での臓器移植を制限する決議は新型インフルエンザの流行の対策に手を
取られて今年は行われないことになったが、いずれその方向になるのは間違い無い
ので、日本国内の体制が1年でも早く整えられたことは良い事です。

今後の実施に向けて大事なことは、脳死判定、特に子供の場合に難しいと云われる
判定が正しく行われることにあるでしょう。医学も年々進歩するでしょうから、常に
最新の情報を元に判定基準を見直して行くことが望まれます。

次に臓器移植に対して同意する意思表示をどのようにして明確にするかの問題が
あります。私が「脳死と臓器移植」と題しても書いた中で、臓器移植に対しての意思の
表明を健康保険証に表示するようにした方が、臓器移植に対する意思表明を書面に
よって確認することを洩れがなく出来ることになり、現在のドナーカード方式より良い
だろうと書きました。死後、意思表示が不明のため、家族に同意を求められる精神的
負担が少なくなると思ったからですが、健康保険証や運転免許証に意思表示する方法が
検討されるようで、これも改善の方向に進んでいると思います。

もう一つはドナーの親族に対応するコーディネーターの育成だと思います。脳死状態と
なった時に臓器提供の意思を、一日も長く生きていて欲しいと願うドナーの家族に聞く
立場で、どのように接し、話し掛けるかが大事だと思うので、充分に教育を受けたコー
ディネーターを早く増やすことを具体的に始める必要があります。

前回にも書きましたが、臓器移植は重大事故で治療を要する人が大勢発生した場合の
トリアージュの手法による判断(治療による生存の可能性と治療の緊急度による順位
付け)と同じで、評論家は「どちらも助かる方法を探すべきです」などと云って問題
点を云っていればすむ問題でも、今現場で生死の問題にに直面して対処せねばならない
担当者にとっては、どちらを優先して治療をするのかの判断基準をはっきりさせて安心
して治療に専念出来るようにしてあげることが必要です。
現実の世界では担当者にどちらかを選ぶことを強いられることがしばしば起きます。

7月24日の日本経済新聞に今回の法案成立について世論調査をした結果が報道されて
いたが、法案成立を評価するとの人が67%、評価しないは16%になっていた。この
結果を見て日本人の臓器移植に対する判断感覚は優れていると思いました。
物事が少しでも良くなる方へ一歩踏み出して、欠点は進みながら改善していくとの
姿勢が望まれます。そんな観点からも今回の法案成立をよかったと思っています。


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