ハブ空港
羽田空港の第4番目の滑走路が来年10月に使用開始されるようになり、発着回数が
大幅に増加されることになる。これを受けて国土交通相が羽田を日本のハブ空港に
する構想を述べたことから、成田空港を持つ地区の住民や千葉県知事が反発の声を
上げ、日本のハブ空港の有るべき姿や将来見通しについての議論が高まっている。
また、今行われている行政刷新会議の事業仕分けで関西空港に出される補給金160億円が
凍結の対象とされたことから、関西の三つの空港の在り方についての議論も活発になっ
ている。

交通システムの本質として、利用者に便利な物でなければ人は、より便利な方を選ぶ
のが当然であり、日本人の多くの旅行者がより便利な韓国の仁川空港経由で欧米などへ
出掛けて行く現状に繋がっている。仁川空港は国の方針としてハブ空港の機能が充実
しており、運行便数が多く乗り継ぎ客に便利になっている。
羽田空港をハブ空港化することは、利用者の利便性を向上させ、交通システムとして
有効なものにするので政策の方向としては正しいが、成田空港を作った時の経緯として、
地域住民の反対運動を押し切って建設された事を考えると、住民の心情に配慮した説明
無しに行った大臣の発言には問題があった。
当時は羽田空港の拡張には、建設技術や騒音や安全や離発着時の経路の問題などがあり
不可能との判断があったと思う。其の為に羽田以外の立地を模索した結果、反対運動を
押し切って成田に決めたのに、簡単に羽田を拡張し国際便の乗り入れを増やすとの
発言は問題であった。羽田を日本のハブ空港としても今後の需要増に対応するためには、
さらに拡張せねばならず、それによる騒音の拡大の被害を受ける地域で既に起っている
反対の声や運行上で解決すべき問題も多く、羽田を24時間運行可能な日本のハブ空港の
中心として位置付けるのは、何処まで実現可能か疑問がある。

一方関西空港を巡って、伊丹空港、神戸空港との関係についての考え方を明確にせずに、
補給金を出し続けることに疑問が有り、凍結すべきだとの意見はもっともなことである。
本来、伊丹空港は騒音や安全性に問題が有り将来の拡張の余地も無く何所かに移転して
欲しいとの地元の要望もあって関空が建設され、伊丹空港は閉鎖される方針であった。
ところが神戸沖などの候補地が反対運動で潰され、不便な泉州沖に建設された。出来
上がったあとで不便だとか、伊丹の地元が寂れるなどの理由で伊丹空港の存続が続いて
いる。其の結果関空では利用便数が少なく、着陸料が高いため各国の航空会社から
嫌われ、国際線と国内線の乗り継ぎも不便で、利用者に嫌われ、関空も成田と同じ
状況で韓国の仁川空港に人が流れて行く結果となっている。

関空を不便な状況にしておいて利用客が少なく赤字であるから駄目だと云うのでは
なく、空港の有るべき姿、即ち、多くの国内線と国際線が同居し、ハブ空港としての、
機能を備え、旅行者が喜んで使うように、アクセスを便利にすることが対策である。
関空の不人気の理由は遠くて不便なこと、また交通費が高いことにつきるだろう。
橋下大阪府知事が提案するリニアモーターカーで大阪駅から7分程度で安く関空に
行けるようになるならば、現在の伊丹空港の閉鎖、関空への統合への反対はほとんど
無くなるであろう。同様に神戸からも湾岸沿いに高速の交通機関を作ればよい。
それらの資金は伊丹空港の跡地を売って作るという橋下知事の案に賛成である。
また売却益で関空会社の借金を返す案も提案されている。基本的には空港の建設を
民間会社に借金で作らせると云った国の基本政策が間違っていたと思う。最近まで
利用者数の見込みのない空港を作り続けた空港整備特別会計の予算を、航空行政の
有るべき姿として、日本のハブ空港の整備のため関空の借金返済に当てるとか、国が
関空の土地を買い上げるなどにも廻すべきである。また空港整備事業の一環として、
上記アクセス改善への投資などにも使えるように使途を拡大することが必要である。
不便な所へ旅館を作ったら、お客さんのために道を作り、送迎バスを走らせるでしょう。
空港とそこへのアクセスための交通手段とは一体の投資であり、それを含めての投資が
必要である。

また、統合により関空での離発着回数が増えれば着陸料の値下げも可能になり、航空
貨物の取り扱いでも空港として競争力がつくなど、相乗効果が見込まれる。
現在でも泉州地区の市長会は伊丹空港を廃止して関空に統合すべきだとの要望を出して
いる。関空に近く便利な人は統合に賛成するのは当然で、如何に、より多くの人に便利
だと実感させるかである。
便利になれば多くの人が関空を利用するようになる。現在豊中に住んでいる私自身の
実態から云えば、現状なら東京に行くのに新幹線と飛行機は五分五分ぐらいの選択に
なっている。また伊丹が無くなって現状の関空だけになれば、ほぼ100%新幹線を選択
するだろう。
ただし、大阪駅近辺から関空へ7分で行けるなら選択は五分五分に近く戻るだろう。
大阪、神戸から10分以内で関空に行けるとなったら、近畿地区の多くの人は伊丹の
閉鎖に苦情を云わないようになる。
伊丹空港の跡地の利用については色んな意見も出ているので、地域の活性化につながる
前向きの議論になってほしいし、大阪市内に近い、あれだけの平坦な土地であれば、
跡地は如何様にでも利用されるだろう。

関空は過走路の長さが4000mあり(羽田は3000m)、海上空港で離発着時の操縦が
容易で世界の空港の中でも評判が良い空港であると云う。羽田空港の拡張にはまだ
問題が多く、日本のハブ空港としては不十分であると考えられる。関空はまだ拡張の
余地もあり、24時間離発着が出来騒音問題が無く、ハブ空港として日本で一番の
素地を持っている。
足らないのはアクセスの利便性だけであるから、ここに資源を集中して空港の有るべき
姿のハブ空港にして、羽田だけでは容量が不足すると云われる離着陸回数を補完し
関空も中核に据えた日本のハブ空港システムを構築するべきである。


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