エネルギー選択の矛盾
世界気象機関が11月20日に二酸化炭素などの温暖化ガスの世界平均
濃度が昨年過去最高になったと発表したと新聞に報道されていた。また、
気象庁の発表では海洋の酸性化も進んでいるという。

日本の場合温暖化ガス排出については鳩山元首相が07年に25%削減を
世界に公約しており、その後の訂正はしていない。
この削減計画の基になっているのは、主として原子力発電の採用による二酸化
炭素排出の削減にあった。
また、発電コストの点でも輸入に頼っている化石燃料の価格に振り回される
日本では世界との競争には不利で、現に各電力会社の電気料金値上げの動きが
新聞に報じられており、企業にアンケートをとった結果、企業の80%が
電気料金の上昇を販売価格に転嫁出来ないと回答したとも報じられている。
しかし、今回の福島の原子力発電所の事故による広範囲な放射能汚染結果
から、脱原子力発電の声が高まっており、この方向での削減が出来なければ
電気料金の高騰は避けられないだろう。

クリーンなエネルギーとして太陽光発電や風力発電などが挙げられているが
何れも発電コストが高く当面は補助金などの援助が無ければ広く使用される
ことは考えられない。補助金と言っても元が国民の税金から出ていれば、
結局電気代で負担するか、税金で負担するかの差であって国民の懐から出る
負担に変わりは無い。
勿論、クリ−ンエネルギーによる発電は、コストダウンなどを含めて長期的
テーマとしては是非取り組んでいくべきことである。

このように、現時点では原子力発電による放射能汚染のリスクをとるか、化石
燃料による火力発電での二酸化炭素などによる地球温暖化のなどの公害を
受け入れるのかの選択になって、どちらを採用しても欠点が有ると言う矛盾を
抱えてしまう。

以上のような、二者択一で終わってしまっては、技術屋としては策が無いことに
なってしまうので、どうしたら少しでも改善出来るかと対策を考えてみた。
問題解決のためには、まず何が問題で事故が起ったのかを明らかにずることから
始まる。
今回の原子力発電所事故の原因には地震の結果発生した津波と活断層のズレの二つが
あり、いずれも発電所の建設場所の選定に誤りがあったと考える。
津波については、古い時代に津波が押し寄せたことがある場所だったようで
安全設計の前提に誤りがあった。活断層についても今になってそんなデーターも
あったような報道であり発電所設置計画時の想定に総ての原因がある。
絶対に事故を起こしてはならないような設備の計画には、津波でも地震でも何百年に
一回でも、発生する可能性があれば考慮しておくべきであった。

技術の世界では安全に設計しているつもりでも何か不備があり、航空機事故でも
多くの人命が失われてきたが、安全性の改善を積み重ねて、現在は世界中の人が
利用しており、最近では航空機事故の報道が以前よりずっと減ったように思う。

長期的には化石燃料が枯渇することを考えると原子力は一つの重要な発電手段で
有り続けると思われるだけに技術の改善により事故のない安全な発電手段として完成
させるのが技術屋の使命であろう。
現在世界では約420基(アメリカ104基、フランス58基、日本50基など)の
原子力発電所が稼働しており温暖化防止に役立ち安価な電力を供給している。
基本は立地を含めて安全に抜けが無いように設計をすることである。

このように書いてきたが、これは技術屋としての心構えと責任の在り方を自戒を
込めて書いたのであり、誰かを非難することで書いた訳では無い。


ホームページに戻る                   2012.11.26.