粉の取り扱いの例で書きましたが、技術の分野では個々の経験データの積み重ねから、
それを体系化、一般化して他への応用が出来るようにする所に、各企業の技術力が
あります。またノウハウと言われるところの経験技術の積み重ねをすることも大切で、
そんな技術力をきっちりと伝承出来ているかどうかが、其の会社が評価されるかどうかの
分かれ道になります。
私の経験で、全く同じ原料を使用してある繊維製品を開発していた会社が二つあって、
一社は製品化に成功して工業化が出来ましたが、他社はどうしても成功しなかった例が
あります。
成功した会社は繊維が専門の企業で、いろんな繊維製品を開発した経験豊富な技術者が
いて、特種の繊維製品を製造するための技術力の蓄積があったが、成功しなかった会社は
繊維技術の経験が少なかったのがそんな結果に結びついたものと思っています。
新しい技術、製品開発の基になる創造力も多くの経験の積み重ねから育てられるでしょう。
一つの会社が専門性をもって、この分野ではあの会社だと言われるためには、普段から
その会社の固有技術を若い技術者に教え育てていくことが必要です。
先に技術は理論と経験を併せたものだと書きましたが、理論は専門書に書いてありますが
経験は自分で身につけなければなりません。個人の経験だけを頼っても時間が掛かる上に、
同じ事を経験するかどうかも分かりません。従って先輩が経験を体系化して教えることで、
若い人に多くの経験をさせたと同じ効果をあげることが、企業の固有の技術力を高める
ことになります。先に「JR事故に思う」に書いた失敗管理もそんな技術伝承の一つになる
でしょう。
団塊の世代の技術者が若い技術者にその会社特有の技術を旨く伝承されることを願って
いますし、それが先輩技術屋の責務でもあるでしょう。