泡の話(3)
泡の作り方
今回は、泡の作り方をいろいろ書いてみます。
機械的撹拌:泡立てしたい液体と気体を撹拌して泡を作る場合で、最初に書いた、卵の白身の
 泡立ての場合がその一例です。
 工業的に大量に泡立てする場合は、ピンを沢山立てた円盤を向き合わせる、叉は、円筒の
 内側と外側にピンを立てたものをはめあわせてピンが互いにぶつからないよう、円盤の一方、
 または内側の円筒を高速に回転させ、円盤または円筒の間に液体と気体を連続的に供給して
 やると、ピンの間を通過するときに受ける剪断力で、気体と液体が撹拌され、細かい泡を
 連続的に作る事が出来る。食品工業、繊維加工などで使用されています。

化学反応:カルメラ焼きを作るときの重曹のような場合がその一例です。
 ホットケーキを作るときのベーキングパウダーのように適当な温度で分解してガスを発生する
 物質が
 あります。工業的に使用されるよう、適当な温度で分解して窒素ガスを発生させる発泡剤が
 開発されています。
 約150℃から450℃の広い範囲で数℃きざみの温度で分解発泡させる一連の発泡剤を
 東洋化成工業という会社が開発されています。
 
発酵法:酵母の発酵時に発生する炭酸ガスによる泡の利用がその一例です。
 ビールやシャンパンの泡もこれになり、パンを膨らませる泡もイーストの発酵による炭酸ガスに
 よるものです。

溶解度差:液体中に溶解するガスの量が温度、圧力によって変化する現象の利用がその一例です。
 空気や炭酸ガスなど大抵の気体は圧力が高い、あるいは温度が低いと水によく溶け込む。
 従って、
 高圧の状態で溶け込んだガスは圧力を下げると液から分離され泡になって出てくる。上記
 ビールやラムネの泡はこのような原理で栓を抜いて、圧力が下がった時に発泡し、温度が高い
 時にビールの泡が出過ぎて溢れるのも、この理由によるものです。

蒸発法:常温で加圧した状態では液体で大気圧では蒸発して気体になる物質を発泡させたい液と
 混合させておき、圧力を下げて蒸発させ、発生したガスで発泡させるものです。
 発泡タイプの化粧品、整髪剤などはほとんどがこの方式で、以前は適当な蒸発温度、圧力を
 持っていて、燃えないことなどからフロンガスが用いられていたが、環境問題から他のものに
 変わってきています。

流体エネルギー法:高速の液流の中にガスを巻き込んで、乱流の液体のエネルギーで気体を分散
 させ泡にするものです。
 泡風呂(ジャグジー)等の泡はこの方法で作られているでしょう。

散気板法:微細な穴を持つ素焼の陶器のような物の板や筒を通して空気を水中に送ると、細かい
 泡となって浮上してきます。
 ガス吸収や浮上分離などに多く利用されている方法になります。

泡の技術的利用
次に泡を使った装置などについて見てみます。
浮上分離、浮遊選鉱等
 泡には液中に浮遊している固形物などを引き付ける力があります。この原理を利用して古く
 から、浮遊選鉱という方法で有用な鉱物を選り分けることが行われています。例えば黄銅鉱は
 泡の表面に付着しやすいので粉砕した鉱石を泡立てた液と撹拌して泡に付着浮上させ、その他の
 付着し難い無用な母岩と分離出来ます。
 同じような方法で、排水中の不純物を泡に付着させて浮上分離させ排水を浄化する浮上分離
 技術があります。
 先に紹介した松下の泡を利用した洗濯機の原理も、汚れ成分が泡に吸着されることを用いた
 ものである。鍋ものをしていてアクが浮いてきて溜まってくるのも同じ原理だろうと思います。

蒸溜、吸収等
 化学工学での基本的技術の蒸溜、吸収などのプロセスは気体(蒸気)と液体との物質移動の
 表面積を拡大するために、泡の状態で気液の接触が行われている事が多い。気泡塔、泡鐘塔と
 いった装置が多く用いられています。

泡沫消火器
 重曹の水溶液と硫酸アルミニュウムの水溶液を混ぜると炭酸ガスの泡が発生し、同時に出来る
 水酸化アルミニュウムのコロイド状沈澱が丈夫に泡を包みこみ、消えにくい泡となります。
 この泡が油の表面を覆うことで空気を遮断し、油火災などの消火に役立つことになっています。 
 消火器の中には上記薬品が別々に入っており、使用時に混合されるようになっている。

超音波洗濯
 シャープは超音波をあてて繊維の隙間に真空の泡を発生させ、泡の衝突の衝撃で汚れを落とす
 洗濯機を売り出しています。

気泡ポンプ
 液中にパイプを立て、下から気泡を送り込むと、パイプ中の液の見かけ比重が小さくなり液が
 押し上げられるので、ポンプの作用をさせることが出来ます。 


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