安全と技術屋
最近、回転ドアでの事故や三菱自動車製大型車のタイヤ脱落、駆動系での事故など
による多くの人身事故について報じられている。
このような事故の起った背景について書かれていることをよんで、技術の世界に身を
置く者として、非常に残念に思っている。

回転ドアそのものは、ビルの空調負荷を減らし、省エネ効果がある良い設備である
のに、設計者の安全に対する配慮不足や使用者側の使用条件設定ミス,会社幹部の
安全に対する感度不足などから事故を起こし、回転ドアの使用中止や撤去が行われて
いる。
安全対策がとられるまでの当面の対処としては仕方が無いことと思うが、技術屋と
しては安全な設備を設計し、本来の効果を発揮出来るような物を作り、これを採用して
頂けば安全ですと胸を張って売り込める物を作ってほしい。

回転ドア−に関して言えば、前提となる設計条件の設定が間違っていたように思われる。
子供を含めた不特定多数が使用する場所に対して、ドアを時間当たり通過する人数の
設定が多すぎた、さらに通過する人数を稼ぐために回転速度の設定を使用者側がさらに
高速側にして使用していた。事故を感知するセンサーの位置や感度に問題があり、さらに
ドアが重たく非常停止するまでに時間がかかり、ドアのフレームが金属製で、ドアに挿ま
れる可能性がある部分にゴムなどのソフト材料を使わず、挿まれた時ドアの一部が壊れても
人には怪我をさせないような安全に関しての設計上の配慮がされていなかったことなどと
多くの要因が重なっている。

報道されている記事によれば、以前から回転ドアでの事故は多く発生していたようである。
三菱自動車の例でも同じ事だがそのような事故発生に対しての会社幹部や設計者の感度
不足が残念でしかたがない。三菱自動車についての報道では設計、製作時に実物での強度、
耐久性などのテストがなされていなかったようである。複雑な形状の部材では、安全性に
関して総ての確認を計算だけで求める事は難しく、実地テストで安全を確認することが
必要である。そこまでやっても予想されない事故も起こるかもしれないが、その場合には、
すぐリコールをし、設計を変える等、すぐ抜本対策をとるという基本姿勢が要求される。
目先のことに捕われ、リコール隠しをするような企業倫理の欠如を正すことが先決である。

私も会社に入った時、まず安全第一を教育されたが、販売し不特定多数が使用する
設備については、特に安全に対する配慮が重要である。先にユニバーサルデザイン
ついても書いたが、技術屋としては事故があったら、まず絶対に事故を無くすにはどう
改善するかの対策を考え、安全で使い易い設備をトップに提案せねばならない。
それを受け入れないようなら会社の経営者、管理者にその資格はない。リコール隠しなど
しても、結局、より大きな損害を会社、社会に与える結果となっている。

本来、省エネと言った目的で考えられた回転ドアが、こんな事故のために使用されない
ようになって欲しく無いものである。


ホームページに戻る                      2004.5.30.